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霞草
第6章 二人の想い
僕達は、街に行く為にバス停にいる。
霞が、先ほどの男が僕を兄だと思っている理由を訊いてきた。
「あいつが、お前は何なんだ?と絡むから、君の事を妹だと言ったんだ。下手に客だの、手伝いだの言うとまた君に絡むかもしれないからね。」
霞は
「だから父はあなたの事、賢いって言ったのね。」
と納得した。
バスが来て、僕達は二人掛けの座席に座った。
散歩に出ている時も、隣に座ったり、寝転んだり、同じくらいの距離に居る事があったはずなのに、ヤケに意識してしまう。
[デートしよう]と誘った訳ではなかったが、僕の気持ちはそうだったからだ。
僕は彼女を窓側に座らせた。
景色を見るふりをして、彼女の横顔を見つめていた。
最初の日に宿に来るまで、かなりの時間バスに乗ってきたと思っていたが、今は彼女と居るせいか、あっという間に街に着いた。
まずは、彼女の学校の場所を案内してもらう、そこは、女子高だった。
この辺では共学の方が珍しいようだ。
「中学までは共学だったけど、女子ばかりでいるのに慣れてしまったら男性と話すの緊張するの。」
「そっか。そんなもんなんだ。」
僕は初めて会った時、霞が洗濯物に隠れてモジモジしていたことを思い出した。