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霞草
第2章 旅立ち
家族に気づかれないよう朝早く家を出たので、まだ電車が動いていない。
始発まで待っているのももどかしく、線路に沿った道を歩く。
人生のレールから外れた自分が、いきなり線路を辿るなんて皮肉なもんだな。
鼻で笑いながら歩く。
一睡もしていないのに、足には力がみなぎる。
自分で考え、一人で何かをするなんて本当に初めてだったのだ。
その喜びが力になる。
そういえば飯も夜から食ってなかったな‥。
それでも歩き続けた。
隣の駅につき始発時刻をチェックする、もう一駅歩けそうだ。
行き先など考えていなかった。
ただ、なるべく長い期間離れていたかったので、比較的近場で、
都会のせかせかした時計に急かされないところ、
それに、金は無駄にできないな、
など漠然と考えていた。
隣駅から電車に乗る、
目的地も決めずに…
ガラガラの車両に乗り込み、目を閉じる。
今は何も考えずにいたい、空腹感も忘れて熟睡した。