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霞草
第7章 すれ違い
牧場から更に坂道を登って行ったところに、その丘はあった。
看板には、『二人の明日を丘から見つめる…』などと書かれていたが、
今日帰宅する人達には時間的に遅いからか、人は疎らにいるだけだ。
霞は、ネーミングに頼る僕の心境を察してか、無口になり後ろを歩く。
階段から坂道に代わり、小高い丘の斜面を登るころになり、霞が後ろから僕の腕を掴む。
逸る気持ちが霞のペースを考えず、僕は急ぎ足になっていたのだろう。
「ごめん、」
僕は霞の手を握り、ペースを落として歩く。
霞は首を横に振り笑みを作った。
樹木で遮られた視界が開け頂上が見える。
霞の
「どんな明日が見えるのかな…」
という僕の心境を代弁する台詞に、二人の足も早くなる。
頂上に着くと、辺りは平らになっており、一面に色とりどりの野草が花ひらく。