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第56章 一番

私は避けていた話題を持ち出した。


「あのさ、私付き合ってる人いるって言ったよね」


「そうだっけ？」


理人は気に留めてないふりをしていた。


「ちゃんと理人の事言ったから。
会社では会うけど普段はもう会ってないよ」


「分かってる」


理人ははっきり言った。


「えっ？どうして？」


「朱美はそんな器用じゃないから」


自信たっぷりに理人は答えた。


理人は気にしてないふりじゃなくて本当に気にしてなかったんだ。