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幼い獣たちは愛を知る
第6章 歪んでも 愛
 ふわり、ふわり、と規則正しくなにかが俺の体を通り過ぎてく。あったかくて、ゆったりと俺の意識を引き上げてくれる。
「ぁ……」
「起きたか」
 それは、アストンの手だった。俺はアストンに後ろから抱かれて、髪を撫でられてた。
 そして、目の前に胸━━ボルガさんの。それが規則正しく動くたびに、俺の頬に空気が触れる。
「馬鹿かお前」
 言葉の内容と違って優しく響く言い方に俺が目をしばたかせると、
「寝て待ってればよかったのにずっと起きてたんだな」
 アストンは寂しそうな声で笑う。
 と、ボルガさんの肌の動きが止まって、今度は不規則に動き始める。
「いままで悪かった……お前にばっかり……」
 俺はシーツの中でもぞもぞして、一生懸命アストンに向き直る。背中なんて向けていたくなくって。
「そんなこと━━」
 言いかけたとき、ふわりとなにかが降りてきた。そのなにかは、俺とアストンをまとめて包む。
「ボルガさん……」
「━━こうしていられることが幸せなのだと」
 なんかそれは、昭弘さんが俺たちを兄弟にするって言ったときみたいな響きだった。
「自分はそう思っています。明日も、明後日も」
 明日と明後日。そうだよね。
「昨日より、明日と、明後日」
 だよね。
 俺が小さくアストンに口づけると、アストンにしがみつかれた。こいつがこんなふうに感情を表すとこ、初めて見た。
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