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夏の夜の終わりに。。。
第19章 愁の記憶
「愁?おま…」

愁が、人差し指を口許にもってきた。

「ママ、死んじゃうの?」
「いや、ただ眠ってるだけだよ。」
「いつになったら、起きるの?」
「それは、まだわかんないよ。」

穂香の隣のベッドには、明け方に搬送された、老人が眠ってて、傍に奥さんらしき女性がいて、俺らの話を聞いて肩を震わせていた。

「愁が産まれる前にもな、ママお怪我して、入院してな、その時にパパ、ママの手をずっと擦ったり、握ったりしてたんだ。あと、耳元で、お話したりしてた。」
「なんで?」
「さっきの看護士さんに、そうすると目が醒めやすいって言われたから。愁、してみるか?」
「うん。」

俺と静かに穂香の手を擦ったり、握ったりしてた。

だが、夜になっても、2日3日たっても、穂香が目覚める事は、無かった。4日目の早朝、隣のベッドに寝ていた老人が息を引き取った。愁が、居なくて良かったと思った。

それから、1週間して、愁が、退院した。
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