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方違えた教師
第2章 プロローグ1 智美
そっとダイニングテーブルに三者面談のプリントを置く。

「お母さん忘れないで来てくれるかな」
高校一年生からやらなくてもいいのに・・・、そんなことを思い口からため息が出る。
面談で何の話をするのだろうか、先生も母親もきっと私のことなど見ていない。

夏休みも終わり、9月半ばを過ぎた。
入学からもう半年が経とうとしている。

特に美人でもない私は、クラスにいても注目を浴びることはない。
どちらかというと、地味な顔という表現があっている。
バランスはいいけれど、印象に残らない顔。

そういう意味では、良くも悪くも目立たず苛めを受けているわけではない。

成績優秀な兄は、両親の期待に応え名門大学へと進んだ。
一つ下の妹は、小さいころからだが弱く甘やかされて育ったため、我儘だがどこか憎めない愛嬌と見た目の可愛さが相まって両親にとってはかわいい末娘。

じゃぁ、私は?

両親が見ているのは兄と妹ばかり。
私の誕生日すら忘れることもよくある。

その家庭内で染み付いた性格は、学校でも変わることはなかった。

必要最低限の会話。
そのことすら、周りから気にされない現実。

「誰かの視界に私は入れてるのかな」

たった一人でいい、私を私だと認識して向き合ってくれる人がほしい。
そう思うことは、私にとって贅沢なことなのだろうか。
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