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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第10章 しのちゃんの受難(六)
「先に言っておくけど」
体も髪も洗い終えた私は、宗介の待つ湯船に浸かる。
二人で入ることを想定していない湯船は、案外狭い。足を折り曲げて、向かい合って座ると……かなり近い。狭い。
宗介は早速手を伸ばして胸を揉んでくる。別にいいけど、ニヤニヤ笑いは何とかしなさい。
今日はどこの温泉の入浴剤を使ったんだったかな。緑がかった波が揺れる。
「……イッたのも、縛られたのも、フェラを自分からしたのも、対面座位も、みんな初めてだから」
「え? そんなに?」
宗介は驚く。いや、あなた、私がどんなセックスをしてきたか、知らないでしょうに。
「高村礼二はかなり性欲が強い男でしょ?」
「私の性欲が薄いの。割と淡白で」
「嘘でしょ。あれだけ乱れておいて、淡白なわけ……あぁ、高村礼二が下手だったとか?」
「まぁ、痛かったし、避妊はちゃんとしてくれなかったし……私もセックス自体にあんまり興味が持てなくて」
と。喋りすぎた。
恋人の目の前で元カレの話は御法度、マナー違反だったはず。聞いていてあまり気持ちのいいものではないだろう。
けれど、忘れていた。宗介は、変態かつ篠宮小夜マニアだ。
「あ、俺のことは気にしないで。小夜のことは、元カレのことも含めて何でも知っておきたいから」
「……」
やっぱり、宗介は少し普通とは違うんだな、という感想しか出てこない。慣れてきてしまっている自分がイヤだ。
「ちゃんと濡れていたし、イケていたし、俺とのセックスは気持ちよさそうだったけど?」
「……宗介とするのは、好き、かも」
礼二とは全然違うセックスだった。礼二は私を慈しむような言葉なんてかけてくれなかったし、本当に独りよがりなセックスを強いられてきた。
宗介とのセックスは気持ち良かった。本当にしんどかったけど。あんなに喘いだのも、体が跳ねたのも、初めてだった。