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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第13章 しのちゃんの受難(八)

「結婚式はなさるんですか?」
「ええ。式は教会で、親族と友人だけで。披露宴は、生徒と高等部の先生方は全員呼ぶつもりよ」
「わぁ! 嬉しいです! 行きたいと思っていました!」

 本当に嬉しい。何を着ていこうかな、なんて今から考えてウキウキしてしまう。

「人数が多くなるし、夏だから、ガーデン形式で、できれば日陰がたくさんあるところを探しているの。でも、あと二ヶ月だから、どこもいっぱいで……困っているのよ」
「披露宴に学園関係者を呼ぶなら、学園の施設が使えるといいんですけどねぇ」
「あぁ! それもいいわね。体育館なら台風が来ても大丈夫だし、飾り付けは生徒にお願いして、ケータリングを頼んで……わぁ、ステキ! 学園長代理に相談してみようかしら」

 実はそれは、私たちも来年そうなるかもしれないから、と考えていたアイデアだ。受験生に無理はさせられないから、飾り付けはお願いしないかもしれないけど。
 もし今年智子先生が学園内で披露宴をするなら、来年アドバイスがもらえるだろうし。
「披露宴会場がかぶるなんて!」という気持ちは微塵もない。自分の勤め先で披露宴ができるならラッキーだし、生徒や先生方の負担も最小限で抑えられる。願ったり叶ったりだ。

「智子先生、幸せになってくださいね!」
「しのちゃんも!」

 酔っ払い二人の夜は、ゆっくりゆっくり更けていく。

 明日は木曜日。
 宗介の、研究授業、だ。
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