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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第14章 【回想】里見くんの協力者

「……即答だったわね」
「伊達に片想いはしていないので」
「……重いわね」

 それは自覚している。たぶん、俺の想いは、重くて、窮屈で、深い――そんな、執着心の塊だ。

「学園長代理、ありがとうございます」
「うん?」
「篠宮先生の相手として、認めてくださったと思っていいんですよね?」
「ああ……小夜があなたを選べば、だけどね」

 この人は――たぶん、俺と同じくらいの執着心を小夜先生に抱いている。そんな気がする。
 採用にも口出しをして、親友を自分の手元においたことは、想像できるし、実際そうだったと奥さんが言っていた。小夜先生の男関係にまで口を出す理由も、他に見当たらない。心配症だというには、彼女の性格は合理主義的すぎる気がする。

 違和感しかないのだ。

 だから、俺は、奥さんの「梓は小夜ちゃんが初めての友達だから、本当に小夜ちゃんのことが大好きなのよ」という笑い話を、素直には受け取らなかった。
 何となく、彼女は――いや、いいか。それを確認する勇気は、俺には、ない。

「ありがとう、ございます。やります」

 俺は深々と頭を下げる。
 そんな人から小夜先生を奪う――予定なのだ。結果を出さなければ、男が廃る。
 何が何でも、やり切らなければ。

 こうして、俺は、これ以上ない最高の協力者を得ることに成功した。
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