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癒らし屋日記 #葵さん
第1章 東京タワーの見えるお部屋で
肩にかけていたカバンを床に落とす。
葵さんの腰を抱いて、身を引き寄せる。
「最近どう?」も「なんか面白いことあった?」もなしで、いきなりくちづけから。
互いに顔をかしげ、くちびるを寄せて。
彼女のくちびるを、舌先でなぞる。その輪郭を確かめるように。
舌を絡ませようとする人を避けるように、顔を離して。
もう一度、フレンチキスで呼吸を合わせると、いま一度、くちびるの輪郭だけを舐めてゆく。
彼女の口から、ため息が漏れる。
ボリュームのある、セクシーなくちびる。
すこしふくれた頬の輪郭とともに、彼女の顔を特徴づけるアイテムだ。
世間話をしないのは、セクシーな雰囲気に集中したいから。
余計な話をして、気分を紛らわせたくないから。
本題に入る前に世間話をするのは逆に恥ずかしいことだと、彼女に教わったから。