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臆病者のタイミング
第1章 臆病者のタイミング

「またや・・」


「え?」


周平は
突然抱きしめる腕をほどいて
私の顔を覗き込んだ


「詩織ちゃん、なんか最近変やで?
なんや・・
ガードが堅いっちゅうか・・
もしかして俺、嫌われてる?」


「そ、そんなことないよ。
嫌ってなんかない」


「せやかてな
俺の前で泣いたりせぇへんなったし
今日みたいに電話くれたんも
めっちゃ久しぶりやし
俺が慰めて欲しい時も
なんや前みたいに
『ぎゅう~~~』って
してくれへんやんか」


周平はちょっと
スネたような顔で私を見つめた


「そ、それは・・」


「それは、なに?」


ジリジリと攻めるように
周平はまた私に近づく


「な、なんて言うか、その…」

「嫌いなんやな?俺の事」

「違うって」

「ほな、好き?」


「え・・」


「俺のこと……好き?」


「ど、どういう意味?」


「あかん!
俺もう我慢でけへん!!」

「え?」

「俺、なんやもう嫌やねん!!」



「周平・・」


「いっつもいっつも詩織ちゃんから連絡ないか携帯ばっか気になって、気になるのに会えるんは詩織ちゃんが落ちてる時だけで、俺から連絡ばっかりしてたらなんや引かれそうででけへんし、会うてもぎゅ~ってするだけで詩織ちゃんあんま話もしてくれへん。
それはやっぱり
ぎゅうフレやからなんよな?
ほんまの恋人とは
何でも話したり頼ったり笑うたり
飯食いに行ったりするんや。

そんなんやったら

俺・・・」


「ちょ、ちょっと待って
周平っ・・」


「そんなんやったら俺
ぎゅうフレなんかもうやめたいわ!!」


「えっ・・・や、やだ
やめるなんてそんな・・」


どうしよう。
何がいけなかったの?
もっと電話すればよかった?
もっと話をしてれば
こんなことにならなかった?
どうして?

どうして急にやめるなんて…
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