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君を好きにならない
第2章 真琴!死ぬなよ!
「さてと、まずは…」
俺は三日ぶりに
真琴の部屋で
新作小説の人物設定に目を通している
貸した金で
何を食ったのかは知らないが
今日の真琴は顔色も良く
機嫌も良さそうだ
「あ、あの」
「ん?」
「ど、どうですか?
今回のは少しだけ
自信があるんですけど…」
なるほど
それで
機嫌がいいんだな
正面に座ってる真琴は
身を乗り出して
パソコンの向こうから
俺を覗き込む
パソコン邪魔なんだよ
って顔をしながら
俺を見つめるその顔がまた
たまらなくいい
「向井さん?」
「あ、あぁ、そーだな
今までよりは、まぁマシになったな」
「ほんとですか?!」
「けどな…」
「け、けど?」
真琴は俺のその一言で
あっという間に
悲しそうな顔をした
そんな顔すんなよ…
なんも言えなくなるじゃねーか
「一発OKなんか
あるわけねーだろ?」
「は、はい…」
「そんな顔すんなって」
シュンとした真琴を見て
俺は思わず
真琴の頭に手を乗せ
髪をクシャクシャってやると
相変わらず
その柔らかな髪の向こうに
ふと
あいつのことを思い出していた
あいつの髪も
こんな風に
柔らかくて
いつでも好きなだけ
触れられたら…って
思ってたっけな…
「そ、そーですよね…」
「あ、あぁそうだ
お前が一発ですげーの書いたら
俺の出番がねぇかなら?」
「は、はい」
ちょっとホッとしたのか
真琴は頰を緩めた
「なぁ、なんで…
お前の設定は学生ばっかなんだ?」