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君を好きにならない
第12章 好きにならない


「じゃ、俺は帰りますね」


電話を切ると
状況を察したマサシは
そう言って
小さく右手を挙げた



「あぁ、ありがとな」



「頑張って下さい」



「おぅ」



「・・じゃ」



マサシが
俺に背中を向けると
急に孤独感が俺を襲い
マサシを
引き止めたくなったが
ぐっと堪えて
俺はマンションへ足を踏み出した


とにかく・・


真琴の思う通りに
してやらないと


そう思いながら
エレベーターのボタンを押し
降りてきたエレベーターの中に入ると
急いで駆け寄る足音が聞こえた


そして
その足音の主は
エレベーターに乗り込み
俺に声をかけた




「ハァ・・ハァ・・


お帰りなさい・・」






「真琴?!」





エレベーターに乗り込んできたのは
真琴だった




「え?お前家にいるんじゃなかったのか?」



「そんなこと・・ハァ・・

一言も言ってません」



真琴は
行き先階のボタンを押しながら
息を整え

そして
エレベーターが動き出すと
背筋をのばして
俺を見下ろした



「・・向井さん」



「な、なんだよ」






「さっきのが

恋人ですか?」
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