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君を好きにならない
第15章 どっちなんだよ
「ちょっと寄り道するか?」
「…うん」
俺は
前にマサシと来た公園に
真琴を誘い
2人でベンチに座った
「マサシは
本当にバーで知り合った
ただの友達だ。
あいつは若いから
ゲイであることで色々悩んでてな
相談にのったりしてたんだ」
「…うん」
「正直
マサシは俺のことを
多少気に入ってたみたいだけど
俺はマサシに
恋愛感情を抱いたことはない。
お前が居なくなって
猛烈に寂しかったから
飯を付き合ってもらってただけだ」
俺だって
少しは嘘をつくさ
大人なんだから
「そう…なんだ…」
「あの日は…」
「…うん…」
やっぱり
あの日のことが知りたいのか
真琴の返事は早く
じっと俺を見つめた
「お前からのLINEの返事が
すげー素っ気なくて
翌日お前に会うのに
どんな顔して会えばいいのか
不安になってな(苦笑)
かっこ悪いけど
泣きたくなるくらい
悲しくてな…」
「……」
「一人でいるには
キツかったんだ。
一人で泣きたくなかったんだよ。
上手く言えねーけど」
「それで
マサシさんのとこに?」
「あぁ。
泣き言を聞いてもらおうと思ってな。
だからなんでもないんだ
ほんとに。
マサシとはなんにも」
「……わかった」
「今日の電話の相手は
slowのバーテンだ。
そいつもゲイだけどな。
マサシには世話になったから
誰かいい男を紹介してやってくれって
頼んだだけだ」
「そ、そうか…
廊下でマサシって声が聞こえたから
ほんとはちょっと…
気になってたんだ」
「スッキリしたか?」
「うん。
でも二人で楽しそうにしてたの
僕見てたから
まだ正直モヤモヤしてるけど(苦笑)」
「正直だな。
でもそれでいい。
お前が安心するまで
俺は何でも話すし
お前がして欲しいことは
何でもしてやる。
俺は
お前に嫌われたくないんだ」
「向井さん…」
「もどかしいな。
手も繋げない」
「……うん」
周囲に誰もいないとはいえ
こんなとこじゃ
真琴を
抱きしめて慰めることも
大丈夫だからと
安心させてやることもできない
「こんな話は
家でしないとだめだな。
俺は何年ゲイやってんだか(笑)」