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嫌いじゃなかったの!?
第6章 5ページ目。
〜蓮side〜
「いってきます」
俺は誰もいない部屋に向かってそう言った
いつもだったら少し眠そうな声で
「いってらっしゃい」
と返ってくるのに、今日は返ってこない。
そりゃそうだ。同居人で幼馴染の杏子は地方営業で京都に行っているわけだから
去年は東京近郊だったのについに関西にか
杏子も杏子で仕事を頑張っているようだ
俺は扉の鍵を閉めて歩き出す。
一昨日、杏子は言っていた
「新人さんと京都に地方営業に行くの。京都に行くの楽しみだなぁ。あと、関西の書店員さんとお話しするのも楽しみ」
と、楽しそうに。
でも俺は一抹の不安を感じた
『新人さん』とは、先日杏子を家まで送ってくれた、あのイケメンの若い男じゃないか?
大人びていたが、杏子のことを『真嶋さん』と呼んでいて敬語を使っていたから後輩だと思ったのを思い出した
しかも、杏子はいくら酔っていても男に体を触られるのをひどく嫌がる
俺でさえも。
なのに腰を抱かれて送ってもらっていた。
言い知れぬ不安を感じる。