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嫌いじゃなかったの!?
第14章 13ページ目。
〜凌side〜
母に、父に、あの人に、愛されたかった少年は大人になり、愛を知った。
「愛してる」と言う言葉はこんなにも心をぐちゃぐちゃにするものだったのか。
愛している人の「愛してる」と言う言葉で、人はこんなにも、幸せになれるのか
「ありがとう、杏子。これ以上ないくらい幸せだ。」
杏子を抱きしめる腕が震えそうになる。
愛しい人の体は細く脆い。
この人が、折れそうになってしまった時、守るのは俺だ。
最初は自分のことを嫌いだと思っていた人を。でも、他の女とは違う魅力を持っていたこの人を、
「俺も愛してる、杏子」
抱きしめている杏子の肩越しに、作り笑顔をしているけど、心がボロボロだったあの日の、愛されたかった少年が見えた気がした
大丈夫だよ、諦めないで生きろ、お前は、いつか本当に愛せる人を見つけられるよ