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セカンドラブ
第3章 ン
「ちょっと待って」
そういって、携帯を顔から遠ざける。
「池田、一人じゃ不安だろう?」
「平気です。主任の・・・係長の決済待ちなんですよね?
どうぞ行ってください」
「・・・・」

私の顔をじっと見て、小さくため息をついた後
「今から行く」
電話口で相手に言って、私に
「ごめん」
と、本当に困ったように頭を下げた。

「大丈夫です。さ、早く」
その言葉に促されて、見慣れたスーツ姿の主任は
私の記憶よりもほんの少しだけ渋くなって
5年前より素敵になっていた。

「なに?」
出かけに、玄関でじっと見つめる私に気がついて不思議そうにそういうから

「5年前より素敵だな、と思って」
正直にいえば
「だったら・・・しおりのお陰だ。行ってくるよ」
主任は優しく笑って私にキスをしようとした。

「あ・・・」
私を引き寄せたその手で、次の瞬間思い切り遠ざけられた。
「ごめん。出かける時の習慣なんだ」

そういってキスする寸前で気が付いたらしい。

5年後の私ってば・・・
主任とラブラブじゃん。

主任は大きくため息をついて
もう一度「ごめん」と謝る。

「良いですよ。行ってらっしゃい」

苦笑いした私に苦笑いで応えて。

「なるべく早く帰ってくるけど。
出社してしまえば、遅くなるかもしれない」
「はい」
「先に寝てて」
「はい」

ここで待ってますと言えば、帰る時間を気にするんだろう。
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