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エリュシオンでささやいて
第8章 Staying Voice
 

 繋いだ手があたしの内腿を摩り、須王があたしに甘えるように言う。

「舐めていい?」

「な……っ」

 まるで子供があめ玉をなめていいか、お母さんに聞いているよう。

「なぁ……舐めたいんだよ」

「だ、駄目っ」

 しかし、閉じようとした足は握られたままの手で大きく左右に開かれ、秘部の位置に顔を寄せる須王は、再び訊く。

「舐めちゃ駄目だというなら、仕方ねぇから見てるだけでやめるけど」

「み、見る?」

「そう。舐めて欲しそうに蜜を垂らしている様を、じっくり……」

「見なくていいから!」

「じゃあ、舐めていいってことだな?」

 須王が秘部に顔を寄せる。

「ち、違……っ」

「じゃあ、見てる」

「なんでそんな選択……っ」

「だから、お前のして欲しいということをしてぇんだよ。お預け食らわせるか、舐めさせるか、どっち?」

 可愛く首を傾げたって、言っていることは卑猥な選択。

 それを悪びれた様子もなく、須王の顔があるだけでジュクジュクと熱く潤っているあたしの花園は、彼による刺激が欲しいと花開く。

「なぁ……、俺にアメとムチどっち?」

 どっちがアメで、どっちがムチなんだろう……など思うあたしは、須王が細い息で花園に風を吹き込んだ感触に、びくっとしてしまう。

 鍵盤からまた音がして。

「どっちだよ」

 ああ、後ろから抱かれていた方が、下手な羞恥心は芽生えなかったかも知れない。真っ正面から、こんなに至近距離で、甘えるようにお願いされているのは、どれもあたしを恥ずかしくさせるもので。

「なぁ、柚」

「……っ」

「最終判定。じっくり見てていい?」

「駄目」

「わかった。じゃあ舐める」

「違……やぁぁあっ」

 今まで意識していたそこに、熱くて柔らかいものが吸い付いてくる。

「やっ、やぁぁっ、須王、須王っ」

 動く度に、ピアノの音が鳴る。

 動く手は、須王の力には敵わず、逆に指で手の甲を弄られる余裕を見せつけられて。

 彼の細い髪先があたしの内股を擽り、じゅるじゅると音をたてながら頭が横に振られれば、それだけであたしの身体からなにかが破裂しそうになる。
 
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