この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第8章 Staying Voice
 

 *+†+*――*+†+*


「朝から……、神聖なピアノの上で、なんて!!」

 我に返ったあたしが、顔に両手をあてて蹲り、さめざめと己の痴態を嘆く。

「ピアノを見れば、お前の喘ぎ声を思い出すな。お前、身体全体ですげぇ弾いていたもんな」

 追い打ちをかける須王の声に、あたしの身体が恥辱に沸騰しそうだ。

「いーやー!!!」

 ……正気に戻れば、羞恥心と罪悪感がMAXを突ききった。

 ぐすぐすと落ち込むあたしを笑い、彼は言う。

「俺が、朝食……もう昼食か、美味い飯を作るから、元気になれ」

 優しく、甘い声。

 自炊なんて無縁の男の台詞に突っ込むよりも、セックスをすればするほど、艶めかしい生き物になる彼の色香に惑わされないぞと、ぷいと横を向いた。

「餌に釣られないもん! もうやだ、早瀬さん嫌い!」

 完全いじけモードのあたしは、須王が表情を崩したことに気づかない。

「おいこら。俺が嫌がるふたつのワードを使うんじゃねぇよ」

「知らない! 嫌い、嫌い! あっち行って!」

「黙らねぇと、口塞ぐぞ?」

「脅すなん……ぅんんっ、むぅっ」

 官能的な深いキスを仕掛けてくる彼は、あたしが文句を言えずにくたりとなったところで、笑いながらあたしの頭をひと撫でして、耳に囁く。

「……嫌いって、言わねぇでくれ」

 もの悲しげな声をだして、彼はキッチンに向かった。

「反則だって……」

 ……あたしも、言葉に気をつけないといけないのかもしれない。

 真意からではない……彼の言葉はあたしを傷つけてきた。
 言葉による痛みを、あたしは知っている。

 あたしの言葉はどう?

 本当はそんなこと思っていなかったの、ではすまされないことがある。
 あたしが一番、よくそのことを知っているのに――。
 
/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ