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エリュシオンでささやいて
第12章 Blue moon Voice
 

「まだ終わらせねぇよ、柚」

 須王は後ろから繋がったまま、身体を捻るようにして上から覆い被さる形でキスをしながら、あたしの足を持ち上げて擦り上げる。

「イッたばかりなのに……っ、鬼畜」

 恨めしげに言うあたしに、須王は笑う。

「なんとでも言えよ、柚。今日は寝かせねぇからな、感じまくって落ちても、お前を起こして繋がるからな」

「……っ」

「ブルームーンに、見せつけてやろう」

 ブルームーンを挑発してどうするんだろうと思ったけれど、特別な日だから、そこに永続性を願う須王の気持ちはわかった。

「柚、繋がっているところ、見ろよ」

 だけど、ノーマルでいいと思わないか、須王!

 凶悪すぎるその提案は、あたしの羞恥をより高めて。

「やっ、恥ずかしいっ」

 身体が赤らんでしまうあたしに、幼子を諭すように須王が言った。

「恥ずかしくねぇよ。俺とお前が愛し合っているんだぞ?」

「……っ」

「俺の前では、ただの女になれ。羞恥を捨てて、淫らな柚になれ」

 結合している部分から、白く泡をたてて淫らな液が混ざって見えて、くらりとしながらも須王に貫かれている部分は、さらに濡れた。

「いやらしいな、俺達。だけど、柚だけだからな、こんなに……俺が感じているの」

「感じてる、の?」

「ああ、すげぇ感じてる。お前が思っている以上に」

 隠すこともなく須王は、あたしの耳の近くで悩ましく喘いで見せる。

「はあっ、はあっ、気持ちいい……お前の中、俺溶けそう」

 ぞくりとする。

「――愛しているよ」

 その瞬間、なにかが身体を脳天めがけて駆け抜ける。

「……っ、それは駄目ぇぇぇっ」

「ちょっ、また先にイクのかよ、お前っ」

「須王の馬鹿ぁぁぁっ」

「本気に、俺を置いてイクのか!?」

 王様のエロボイスだけでイッてしまうあたしは、彼が果てるまでに何度も愛されて、散々啼かされたのだった。

 エリュシオンが困った時、須王のボイスCDでも出せば売れまくりそう。
 だけど、あたしが買い占めて、誰にも聞かせてやらないんだから。

 そんなことを、快楽の最中に考えた。


 ……ブルームーンがいつの間にか消えていることに気づかず、ブルームーンに見守られた夜は、永遠に続く。

 
 尽きない愛に、ブルームーンの力は宿ったのだと。
 そう思って、いいよね?

 
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