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青い残り火
第11章 第11章
「な、なんでもありません!」
教室に笑いが起こる中、誰かが「でも、あの動画いったい誰が撮ったんだろう」と呟いた。
当初は衝撃を受けていた生徒達も少しずつ冷静になり、その殆どは二人を認める方向に傾きつつあった。神谷由香利は二人を引き裂こうと企む悪者になり、控え目な西崎を擁護する者が増えた。
彼らは口を閉ざし、秘密の共有が成り立っていった。
学園祭の準備で忙しくなれば、この騒ぎも終息していくだろうと一馬は思った。
このまま卒業の日まで、遠くからあの人を見つめていたい。
思いは募った。恋をしていた。富田も神谷も、愛しい人への想いは同じ筈だと、感傷に浸る事もあった。
桃香と千紗は、何も知らずに芽衣と連絡を交わしている。
「一馬ぁ、学園祭終わったらみんなで映画見に行こうって渋谷が言ってるの、覚えといてね。桃香と鈴木も誘うから、もちろん芽衣もだよ」
「……うん」
そろそろ友人達には、芽衣とは終わったのだと言わなければならない。彼は、心苦しい日々に早く終止符を打ちたかった。
教室に笑いが起こる中、誰かが「でも、あの動画いったい誰が撮ったんだろう」と呟いた。
当初は衝撃を受けていた生徒達も少しずつ冷静になり、その殆どは二人を認める方向に傾きつつあった。神谷由香利は二人を引き裂こうと企む悪者になり、控え目な西崎を擁護する者が増えた。
彼らは口を閉ざし、秘密の共有が成り立っていった。
学園祭の準備で忙しくなれば、この騒ぎも終息していくだろうと一馬は思った。
このまま卒業の日まで、遠くからあの人を見つめていたい。
思いは募った。恋をしていた。富田も神谷も、愛しい人への想いは同じ筈だと、感傷に浸る事もあった。
桃香と千紗は、何も知らずに芽衣と連絡を交わしている。
「一馬ぁ、学園祭終わったらみんなで映画見に行こうって渋谷が言ってるの、覚えといてね。桃香と鈴木も誘うから、もちろん芽衣もだよ」
「……うん」
そろそろ友人達には、芽衣とは終わったのだと言わなければならない。彼は、心苦しい日々に早く終止符を打ちたかった。