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第1章 春

次の日、学校から帰ると、リビングから声が聞こえる

覗いてみると、お母さんが電話しているみたいだ


泣いてる？

泣きながら、誰に電話しているんだろう。。。

...

だからっ。。。今日は、絶対に逢ってるんだって。。。？



誠っ。。。誠は、詩織さんを信じられるの？


朝から、いないなんて、絶対に逢ってるわ。。。


誠。。。どうしたら、いい？


っ。。。

誠。。。逢いたい。。。


ダメかな。。。？


お願い。。。

少しでいいの。。。


うん


じゃあね？



...


詩織さんって言った？


誰に逢いたいって言った？


誠って誰？


お母さんが出掛ける用意をしている


慌てて、玄関から出る

そうっと、玄関から出てくるのを待つ


母親は、どこに行くんだろう？


待っていると、綺麗な格好をした母親が出てきた


歩いて出掛けるようなので、そっと後をつけていく


駅に近づくと、誰かと、話している

少し、離れたココからは見えない


誰？誰といるの？


二人は、路地に入っていく


少し、距離を縮めて近づくと行き止まりの路地で、二人は話している


母親が女の顔をしているのがわかる。。。


泣きながら何か言っている


泣かれた男は、困っている。。。


あれ？

陸のお父さんっ？？


思わず声に出てしまうと、後ろから口をふさがれて、抱きしめられながら、引っ張られる


静かにして？

見つかるよ。。。？


蓮さまっ？？


見つかるよ？


ギュッと抱きしめられて、動けない。。。

ドキドキが止まらない。。。

耳元で囁きながら聞いてくる


茉莉ちゃんは、あの女の娘？


口をふさがれているので、コクリと頷く


母親は、抱きついて泣いている

優しく、髪を撫でながら慰める陸のお父さんを見る

ひとしきり泣くと、母親が離れる


チッ。。。

何を話してるかは聞こえないな。。。？


蓮さまの声が、耳元で聞こえる


少し落ち着いたのか、母親は陸のお父さんに笑いかけている


優しく笑いかけている


チッ。。。

何なんだよ。。。？あの女。。。


え。。。？

蓮さま？