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奈落
第4章 恋慕
藤原さんは、
私が羽山さんを好きだと思っている。
いや、好きなんだけど…。
そんな事言えるわけもないし…。
羽山さんが私をお気に入りなのかなって
少しは思うけど勘違いかもしれないし…。
そんな事を考えながら、
空いた個室のテーブルを片付けていると
グラスをひっくり返してしまった。
運の悪いことに、飲み残したビールが
たっぷり入ったグラスだ。
「ひゃっ、ぁ~っやっちゃった、冷たい~」
ブツブツ独り言を言いながら
乾拭き用のダスターで服の水分を拭き取る。
その時、たまたま通りかかった上田くんが
個室に入ってきた。