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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第8章 洗ってあげる
「おっぱい…っ…舐められ、て」
「……」
「怖い道具を…! アソコに当てられてそれで」
花菜の声は、とてもとても小さくて
「それ で…、…いれられ、て……!」
今すぐどこかへ消えてしまいたい彼女の心境を映していた。
泡が付いた腕では目をこすることができないから…花菜の涙は放ったらかし。
「わたし…汚いの?」
「……」
「わたしって厭らしいの? お兄ちゃん…!!」
そんな泣き顔をさらして、背後の兄を見上げた花菜。
彼女と目を合わせた伊月は、一瞬だけ…とても悲しい顔をした。
悲しいだけじゃない。
込み上げる怒り。苦しみ。
不破と相対した時ですら冷静に堪えていた感情を、彼はこの場で浮きぼらせた。
「汚いわけ……っ、ないじゃないか」
何に対しての怒りなのか。
それはきっと、他人が想像するよりもずっと複雑なのだ。