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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第9章 俺はお前に興味がある
だが首筋の痺れは、単に痛いだけではなかった。
「ぅ…//」
その証拠に花菜の口から…妙に艶めいた声が小さく零れ落ちる。
それを拾うわけにもいかず唇を噛んだ彼女の耳許へ、霞んだ低音で不破が囁いた。
「──…俺から逃げるな」
「…っ…?」
「それから学校を休むなよ。こんな所までわざわざ来てやるのは面倒だからな…」
「…きっ…来てほしいだなんて、誰も頼んでないじゃないですか」
「黙れ」
最後に一度、不破の唇が彼女の抗議に蓋をする。
そして彼女を解放した後──素っ気無く背中を見せた不破は、さっさと道を戻っていった。
地面に捨てられた花菜の本を踏みそうになり
直前でそれに気付いた彼は、何食わぬ顔で跨(マタ)いで行く。
残されたのは、放心状態の花菜と
そんな彼女の影を長く、薄く伸ばしていく…黄昏れの夕陽だけであった。