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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第11章 虚しさという名の快楽

いいんだ

「花菜……!」

キスなんて返されなくていい

「…ハァッ‥‥花菜…!」

君の頭が眠っている証だから

夢の世界に閉じこもっている証だから

だから──君はずっとそちら側にいればいいんだ

汚い僕の邪な想いになんて気付かなくていい

本当の僕のことを……忘れてくれて構わない

受け止めてほしいだなんて……! そんなこと

「‥ぅ、はぁ、‥ッ─あ…‥!!」

僕は決して、思わないさ



“ 安心してよ。僕は理想の兄を演じきる…! 君の前では永遠に──… ”



伊月の顔と身体が強張り、丸まった背に筋が浮き出る。

下肢が震えた。同時に、陰幹を扱く律動がピタリと止まる。

そして彼はその手の内に、白濁した迸り( ホトバシリ )を開放した。

「─‥く、は、ぁ…!!」

触れたくもない忌まわしき液体を、それでも…彼女にかけるわけにいかないから掌で受け止めた。


ハァっ...!!

ビュクッ、ドクッ..


花菜の唇を貪っていた舌をおさめ、しかめた顔を仰け反らせた伊月。

彼の汗が顎を伝い落ちる。

喉から小さく呻きを漏らし、花菜に被さったまま悦に達した男の横顔は──

「………アっ、…っ………ぅ」

見る者を魅了する色気を、見る者のいない暗闇に滴らせた。


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