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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第3章 ルール


──…


「鈴村さんって、年上の彼氏がいるってほんと?」

翌日の武宮高校。

外は小雨だった。

帰りのホームルーム前の掃除時間、屋上に続く階段でホウキを持つ花菜に同級生の女子が話しかけた。

別に親しい仲でもないのに、持ちかけられた話題には突拍子がない。

「…え、彼氏…? わたしに?」

「そーそー。昨日さぁ、一緒に歩いてるところ見たんだって」

「見たって…っ、いつ?」

「だから昨日よ。昨日の夕方」

昨日の夕方。

過去の記憶をたどったところで、花菜に彼氏と呼べる男は生まれてこの方いないのだから、それはあり得ない。

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