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連攣鎖(つれづれぐさ)
第7章 痴漢
そしてその人が先日も同じ立ち位置で、私にぶつかってきた女性に痴漢していたのがわかり、痴漢は私が降りる駅で一緒に降りたのを覚えていました。

私は覚悟を決めて1駅無防備でいました。
男の鼻息は、どんどん荒くなり、指も割れ目をゴシゴシ擦るように強く動きます。

次の駅に着き、少し余裕が出来て男がしっかりと腕を挿し入れた直後、私も体制を変え、男と向き合い、空いた手で男のネクタイの首もとを掴み、

「この人、痴漢です。」

と大声で叫びました。

もうドアは閉まりかけていました。

ところが物凄い力とスピードで私を振り切り、客を押し退け、閉まりかけのドアに体当たりして、ドアがもう一度開き、男は出ていきました。

まだ迷惑条例などなく、痴漢Gメンが結成されたばかりのころで、
閉まった扉の中にいる客たちは、私に冷やかな視線を送り、自分が悪者のような気分になりました。
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