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支配~control~
第8章 崩壊
「…本当に、良いの?」

「…」
その質問に無言で返す。

「良かったねぇ…早紀」

「ん…」
何がそんなに嬉しいのか、女は目をウルウルとさせて、腕にしがみついてくる。
「じゃあ、行くぞ」

「うん」

俺は早紀の肩を抱いて店を出た。

「…待てよ」
店を出たところで後ろから声が聞こえた。

不愉快な声。
聞きたくもない声。

「…んだよ…陸…」

「純…お前、茜ちゃんはどうしたんだよ」
こいつの口からあいつの名前なんて聞きたくもない。

「…放っとけよ」

「…っ放っておけるかよ」
陸が胸ぐらを掴んで詰め寄ってくる。

「離せよ…」

「頼むから、あの子のこと泣かすなよ」

「お前にそんなこと言われる筋合いない」
冷ややかなやり取り。

「俺は、あの子が泣いてるとこを見たくない…っ」

「じゃあ、お前が相手してやりゃ良いじゃん…もう俺には関係ない」


そんなやり取りを眺める影…。

早紀以外にもう1人。

「あ、…茜…ちゃん…」
陸の言葉で振り返ると、そこに茜の姿があった。

スカートの裾をぎゅっと握って、今にも泣きそうな顔をして…。

…そんな顔、俺に見せるなよ。

……ッ。


「…行くぞ、早紀」

「うんッ」

…。
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