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友達でいるしかない
第4章 心友
「のりちゃ~ん。帰るよ~」
教室の入口に文香が迎えに来る。
他のみんなも顔を揃えている。
「…ほいっ。帰った帰った。」
席を立ちながら大声で帰りを促す。
「はい。ナカジー先生。またねっ」
次々とあいさつを交わす。
「ああ。高校に行っても頑張れよ。学校が違っても中学でできた友達は一生の友達だから、大切にしろ!!」
最後の先生の言葉…
全員が口をそろえて返事をする。
「は~い」
ナカジーに手を振り、校舎を後にした。
最後の通学路。
もう明日から通うことはない。
そう思うと自然と口数が少なくなる。
何も言わずに一人一人減って行き、最後は文香と2人でゆっくりと歩く。
いつも俺たちの1歩後ろを歩く文香。
たまに振り向き、ついてきているかを確認する。
2人の時も変わらず…小学生から変わらない。
「早く歩けよ」
ぶっきらぼうに告げると、さりげなく文香の手を繋ぎ横に並ばせる。
手はつないだまま歩みを進める。
短い道のりを終わってほしくないと心の中で叫びながら。
文香も手を繋いだことに何も言わない。
はにかんだ笑みを浮かべて一度俺を見ただけだった。
「文香…高校でもまたよろしくなっ」
長手を繋ぎ真正面から見透けてそう告げる。
「うん。こちらこそ…また3年間よろしく」
名残惜しそうに手を解いてそれぞれの家に向かって歩きだす。