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友達でいるしかない
第6章 文香の幸せ
「君を見てるとイライラする」

「はぁ??」

イライラするのはこっちだ!!

「去年の冬に、君たち二人の間に何があったかなんて知らない。だけど俺は…文香が幸せになるならばと手放した。」

「お前…何いってるんだ??」

こいつの言いたいことが分からない。

「何を言われているか分からない?…君はずっと誰を見てきた?!文香はずっと誰を見てる??」

「ふ…文香が誰を見てるかなんて…知らない…知りたくもない」

俺は立ち上がりながら目を背ける。
俺の言葉に何かを考えてまた口を開く。

「分かった…僕はまだ文香が好きだ。諦めきれない。卒業したらほとんど会えなくなる。彼女は就職、僕は大学だからね。だからと言って終わりにしたくない。一度は彼女の幸せを願ってこの手を離した。けど…君がそういう態度ならもう遠慮はしない。僕はやりたいようにやらせてもらうよ。」

「何勝手なこと言ってるんだよ!!」

胸倉をつかんで壁に追い込む。
追い込んでも強い目で俺を見返す。

「もう、僕はあきらめない。今から文香を追いかけて僕のものにする!!」

「させるかよっ」

「君にその権利がある?自分の気持ちも彼女に伝えられない弱い君が!!どれだけ彼女を泣かせてるか分かってる?そんな君に文香は渡せない」

胸ぐらを掴んでいるのが怒りで震える。
そんな俺に静かに告げる。

「弱い君には彼女を幸せにすることなんてできないから…諦めたほうがいいよ。僕が幸せにしてあげるから心配しないで」

その言葉に俺の中の何かが切れた。

「お前には渡さない…あいつが俺の事好きじゃなくても…おれが守って見せる」

掴んだ胸ぐらを使って軽く突き飛ばす。
倒れ込んだ男を一瞥して早歩きにそこを後にする。
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