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友達でいるしかない
第8章 届けたい気持ち
目を開けると知らない天井が視界に入る。
記憶を辿るが思い出せない。
また文香に潰されたのだと少しおかしくなる。
最後ぐらいかっこよく決めたいと思ったのに無様な姿を晒した。
まだ酔いもさめてない俺はそんなことを思いながらどこにいるかさえも分からず途切れ途切れの記憶の中で時間だけが過ぎていく。

「水…飲みたい」

かなり飲んだせいか異常に喉が渇く。
一人だと思った俺は額に腕を置いて溜息をつく。

「はい。お水。起きて」

文香の声がして目の前にペットボトルが差し出される。
そこで初めて文香の存在に気が付く。
文香の家なのか…それとも夢なのかはっきりとしない。
何も返事をしない俺を揺さぶり起こそうとする。

「起きないと飲めないよ」

上から覗き込んでくる顔が俺の心をつかむ。
その唇があの時の感覚を呼び起こす。

「飲ませて…」

夢心地の中、そう口にする。

「もしもし?」

文香はわけもわからず、キョトンとしている。
文香に触ろうと手を伸ばすが距離感覚がつかめず何度か宙をさまよう。
やっと文香の頬に触れ温もりを感じた。
ふっくらとした唇をそっと撫でる。
ビクッと文香の身体が反応したのが伝わってくる。

「その口で飲ませて…」


手を頭の後ろに回し文香の顔を俺に近づける。
拒む力はなく、すんなりと俺に近づき唇が重なる。
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