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狂い咲く花
第47章 四、アリウム – 深い悲しみ
抱きしめるのを諦めた父様は、その手を麻耶の頭の上に置いて優しく撫で続けた。
何も言わずに撫でていると、泣いていた声が徐々に大きくなる。
必死に声を殺そうとしても、漏れる声が父様の耳に届き父様の顔が歪む。
母様の言う通り、ずっと独りで耐えていたのだとすると哀れでならなかった。
手を差し伸べなければならなかったのは麻耶のほうだったのかもしれないと、これが美弥が伝えたかったことなのだと今更ながらに感じた。

「もう…我慢しなくていい…。急に変わらなくてもいい…辛かったら辛いと言え。そのための家族だ」

「うっ…だめ…辛いって言う資格…ないから…もっと…姉様は辛かったはずだから…」

誰の手も取ろうとせずに一人絶えることを選ぶ。
それが罪を償うことだと麻耶は思っていた。
その姿が父様には辛かった。
愛するわが子が、自分が犯した罪を認め必死に償おうと絶えている姿を見るのが辛く、何も出来ない自分を呪いたくなる。
今はただ抱きしめることしかできないと、全ての愛情が届くように力強く抱きしめた。
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