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輪廻
第3章 4月2日
各居室のカメラはそれぞれ中央に設置され、人がいれば人を追うように、または俺がズームなどの操作をしなければ、1分間に一周回るようになっている。

御幸しかいないこの時間は、他のカメラは全て自動で回っているだけだ。

侵入者のノイズ信号は居室には飛んでいないので、無人の映像を回転しながら映しているだけだった。

ザッ…ザッ…ザッ…

それが侵入者の足音のように玄関から順にノイズが入る。


あっ…

手掛かりがあった。

リビングの引き戸は閉まっていたが、引き戸の下側は灯り取りの曇りガラスがはめてある。

そこに廊下を人が歩く足元だけがうっすらと影になって映っていた。

拡大して、曇りガラスを薄くしていく。

最低二人はいる。二人の片足が映り、カメラが回って扉を映さなくなるまでに後ろの者がもう片方の足を運ぶところが映っていた。

リビングの映像を大きくし、ノイズの入った画像の廊下を映したものと並べて何度も見る。

映った足元の歩幅を推測して歩いてみる。

間違いなく男だ。
ただ、カメラが一周してもう一度扉を映す時には足は見えないので二人以上というだけで何人かわからなかった。

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