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愛おしい貴方・作品SS集
第16章 星に願いを……(禁断背徳)
「おや、同じ事だね」
「これしか思い付かなかったから」
「まぁ……。
皆が幸せになるのが一番だよ、それに間違いは無い」
「だよね。誰にも辛い思いはして欲しくないの」
「……美紀」
少しだけ辛そうにした紀永の顔。皆が幸せに……それが簡単じゃない事は、私も紀永も分かってる。
そうじゃない、私が紀永を選んでいる間は、誰も幸せになれない。分かってる、分かってるのよ。
でも私は……紀永から離れられない。親子だと、いけない関係だと理解していても、私の心は紀永以外を拒絶する。
「…………」
ちょっとだけ現実を突き付けられ、私は無言で短冊を笹の葉に掛けた。
そんな私の後ろから、私より遥かに背が高い紀永が短冊を掛ける。
「……幸せは一つじゃないよ美紀」
「それは……。うん、そうだね、一つじゃない」
私の気持ちを感じとってくれた紀永の言葉。
外で……他の人が居る中で、ギリギリだけど本心を言ってくれる。……それは私の為。
「みんなが幸せに……ね、お星様?」
「あぁ、皆が幸せに……。
小さなと言ったが、大きかったかな?あの夜空のように」
今日は快晴で天の川までハッキリ見える。
織姫と彦星も、今日だけは幸せに浸っているのだろうか?
私の幸せは、紀永の腕の中。
後ろに紀永の気配と温もりを感じながら、私は暫くの間、夜空をジーっと眺めていた。