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契約的束縛・誘惑なる秘密
第25章 香港ー囚われの美波
冗談じゃねえ!
幾ら空っぽの俺でも、プライドくらいはあるぞ?
女を取られて引く男、そんなのは俺のプライドが緩さねぇんだよ!
「今だったら……にげられたのに……。
ダメ、人が来るわ。
それも多数、悪意がある人達。
レンさん、これで良いの?
そのカイザーって人の言いなりで良いの?
貴方自身の意思は何処にあるの?
私は……レンさんが此を望んでいるとは思えない」
「この状態でよく言えるよなサザンクロス。
俺の意思か……。
親父を助ける、それが俺の意思なんだ。
あんたには悪いとは思ってる、でもツインドラゴンでカイザー様の命令は絶対服従。
俺はそれに刃向かう事なんて……出来ない」
「……レンさんと似たような事を言う人を、私は一人知ってます。
服従しながらでも、自分の意思で行動する人。
柵の中でも考える事は出来るんじゃないのかな?」
「…………」
この期に及んで、此だけ言えるサザンクロス。
見た目じゃない、その心が誰よりも強い。
自分が傷つく事すら恐れず、相手に対して問い掛ける。
……俺の時もそうだった。
「レン、親父が大切なのはよく分かった。
だけどな、その親父はお前がこんな事をして喜ぶのか?
俺はそれに疑問を持つぞ。
それにロンチャンがどう関係している?
ロンチャンもツインドラゴンの幹部なのか?」
「ロンチャンは……。
昔はあんな性格じゃなかった。それを変えてしまったのは……あの男。
豹変したロンチャンに、誰も手出し出来ない、ロンチャン自身も自分を抑えられない。
俺は……昔のロンチャンの方が良かった。
今のロンチャンは、破壊衝動をコントロール出来ない猛獣なんだよ」