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契約的束縛・誘惑なる秘密
第25章 香港ー囚われの美波
「それとイェンフィと連絡を取り、本郷さんと宮野の安全の確保もですね。
無いとは思いますが、念のためという言葉もあります」
「そちらは直ぐに連絡し、マンションに人を向かわせれば宜しいかと」
「それで構いません。
そうは言えども、私の方がイェンフィに会う必要があるんですけどね。
まぁ、先手必勝でしょう」
多分イェンフィは知っていると踏んでいます。
ミン・ロンチャン……いえ、カイザーの本拠地を。
直接乗り込み破壊するのが、現時点では一番効果的な方法なんです。
……ルークには言えませんが。
「後は任せましたよ。
この手は時間勝負。面倒な罠を用意される前に迅速に行動です。
……既に用意されているかもですが」
「本当にお一人で……」
「美波の確保も重要ですよルーク。
もし美波が私と同じと知れば、死の天使は躊躇いなく美波に手を掛けるでしょう。それだけは防がなくてはなりません」
「早急に行動します」
美波の力も抜けたようですし、ルークは上手く行動する筈です。
残るは……私ですか。
あまり力を前面には出したくはない。過ぎる力は疑心と疑惑を呼ぶ。
「私が何度も経験している事なのに、また……ですか」
世界はどうしても、私を仁科悠人ではいさせてくれないようです。
此も天命、そう言ってしまえば何も言えません。
「香港に居るせいですかね、考え方が古臭い」
天命は変えられる。
そう、私は実践して見せた筈、それこそ今更話。
思いを振り切り、先ずはイェンフィが居る香港島へ。
……今までの分を全て返して差し上げますよカイザー。