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契約的束縛・誘惑なる秘密
第29章 歓喜の一夜

この姿の私に会ったのは、霧斗がウードゥさんになってから。日本で私は一度もこの姿を見せた事は無かった。霧斗にすれば、黒髪黒瞳の方が私……でも仁科さんとの約束もある。……どうしよう……うんん、今日はもう霧斗以外は誰も来ない。だから良いよね、元の私になっても。
「この色も綺麗だとは思うがな」
「……少し待って……」
髪と瞳の色彩は、私の意思で変える事が出来る。簡単に出来るようになった。
瞳を閉じて、私は黒髪黒瞳をイメージすれば……色が変わるのが感じられる、顔付きもアジア系……元の私の方に戻るの、不思議でしょう?
「髪が……」
「本当は簡単に変えられるけど、香港に来る前に仁科さんと約束したの。『矢神美波とバレないこと』、それが仁科さんとの約束だったから、頑なにサザンクロスを貫いていたのよ」
「美波としてバレるのは都合が悪い、そう言いたいんだな?」
「サザンクロスとして狙われている。だから私はサザンクロスとして行動していたの。少しの間だけ日本に行った時は、こっちの私だったけど……」
「次はサザンクロスとバレたらヤバいか、仁科が考えそうなことだ。それを踏まえても、俺が知っていたのはこの美波だ。仁科と同じで変わる事はあるとは思っていたがな」
「そうだね、霧斗にはこっちが私。それは分かっているよ」
「あぁ……。漸く俺は触れられる……美波に……」
「今だけは、私も矢神美波で居たい。霧斗の知っている私で居たい。明日には戻すけど、今だけ……」
「……美波」

