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契約的束縛・誘惑なる秘密
第30章 香港―明かされる秘密と選択
「…………分かった、あんた達に従う、検査も受けてやる。それで良いんだよな……親父……」
「先ずは主宰が力任せに折ってしまった、腕の怪我ですか。ルーク、この家に腕を固定出来る物はあるでしょうか?」
「探してみます」
「やったのは俺だ、俺も探す」
「私も探そうかな?」
揃って部屋を出て、使える物の大捜索。一時住んでいたとはいえ、俺もこの家は勝手が分からないんだよ。
美波が救急箱を、ルークがシーツを、俺が固定出来そうな棒を見付けて落ち着いたがな。
レンは手当ての後、仁科が直接支部まで連れて行くらしい。どうやら仁科でなければ話が通らない、ルークもそれには諦めの顔をしていたな。
「櫻澤、これを渡しておく」
「これは? いや見覚えがある、カウンセリングだという医者が俺に使っていたもの」
「中身は血清……血液だ。多用する物ではないが、必ず必要になる」
「血の飢えだったな」
手渡された判子型の注射器、中身の色は白だがこれが血液とは……。
そしてこれからの俺に必要な物。生きていただけありがたいが、余計なもんも背負い込んだ。……とはいえ、また皆と一緒に居れるのは、純粋に嬉しさが伴う。
彼奴らだけだ、俺が心安らぎ居心地の良い場所は。美波に仁科、本郷に宮野、今度はルークもか。美波が言うように、もう一度日本でCLUBをやりたいもんだ。
「さて、本郷と宮野に再会したら……彼奴らに泣かれるか?」
本郷は激情タイプ、宮野は感動タイプ、言うなればどちらも涙脆いんだよ。普段は隠しているがな。
……どうなる事やら。