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雨に滲む心
第4章 たとえ身代わりでも
大好きな姉との永遠のさよなら
それは
あの人と疎遠になることを暗に示していた
姉の恋人だったあの人と
私とあの人の関係を繋ぐのは姉だから
彼女を失ったことで
私とあの人の間には何の関係もなくなり
自然と音信不通になった
誰にも打ち明けられずに
ずっと心に秘めていた想い
一生隠し通すつもりだったのに
念願の再会を果たした時
昔と変わらないその姿に
ついに気持ちが溢れてしまった
姉そっくりな私なら
大人になった私なら
きっと振り向いてもらえる
たとえ身代わりでも構わない
そう思ってしまった
だけど
今あの人の隣にいるのは
姉とは似ても似つかぬひと
私とは似ても似つかぬひと
私は身代わりにすらなれない
あの人は
『お兄さん』
そう
これからもずっと
だからせめて妹として願いたい
あの人の幸せを
そう
これからもずっと