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第29章 啓介の本気

「・・・好きって・・・」
「本気ですか？」

「先輩、刑事ですよ？」
「歳の差だって・・・」

「上手くいく訳なんてない！！」
「幸せになれるはずない！！」

神尾が叫んだ


「本気だったらなんだ？」

「神尾・・・」

「本気で人を好きになった事はあるか？」


「・・・」

俺の問いに神尾は黙った


「・・・俺もだ」

「俺も今まではそれなりに好きではあったかもしれないが、本気か？と聞かれるとそうではなかった」

「彼女は居たものの、結婚なんかは考えられなかった」

「人の気持ちなんて人には理解できない」

「結婚するからと言って、本気だとも限らない」

「中にはそれ程、好きじゃなくても結婚する人もいるだろう」

「神尾は俺の何を知ってて俺と結婚したいんだ？」

「見た目？」
「職業？」
「羨望の眼差しが欲しいから？」



「・・・それのどこが悪いんですか？・・・」
「見た目で好きになって悪いって言うんですか？」
「みんなから羨ましがられたくて悪いって言うんですか？」



「それが神尾の本気の好きならそれでいいよ」

「ただ神尾の相手は俺じゃないって事だけの事」

「人の気持ちなんて人には理解できないって言っただろ？」

「俺の気持ちも神尾には理解できないだろうから・・・」



「・・・先輩こそ・・・」
「先輩の気持ちこそ理解なんてできるはずありません」
「刑事じゃなくて犯罪者になってしまいますよ？」


犯罪者か・・・
そうかもな・・・