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冷血な獣
第16章 飼い猫
* * *
シャワーを浴び終え、朝食を済ませると、龍河さんは新調したスーツに着替えて玄関へ向かった。
「じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい」
「妃南」
ドアノブに触れながら、笑顔で見送ろうとする私へキスをする。ただ唇同士が軽く触れ合うだけの、可愛らしいもの。しかし、そのまま離れて真面目に話す龍河さんを見ると、私は腰が砕けそうになる。
「愛してる」
真剣な瞳。無表情な顔。淡白な態度。龍河さんらしいと、部屋から出ていく姿を見送りながら固まってしまった。