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冷血な獣
第16章 飼い猫
ちゃんと説明したら分かってくれると思ってた……。
でも違った。分かってくれるなんて私のエゴ。
龍河さんの気持ちをもっと考えるべきだった。
「……」
放心状態になった私はベッドへ座る。
そして暫くぼんやりしていると、急に携帯の着信音が鳴ってビクッとした。
「えっ……龍河さんから電話……」
何だろう。どうしたんだろう。
それより着信拒否じゃなくて良かった……。
そうホッとしながら電話に出た。
「もしもし?」
『もしもし。鷺沼から全部聞いた』
「鷺沼さんから……?」
『妃南の幼馴染が椿の兄弟ということも、涼太が鷺沼の彼女と結婚させられそうだということも。……妃南は二人を助ける為に結婚するふりをしたいんだろ?なら、妃南のしたいようにすれば良い』
その声に我慢がきかなくなり、涙が込み上げた。
全部私の気持ちを理解してくれる。
腹が立つ事であっても、許せない事であっても。
理解して向き合ってくれる。
私はこんな我が儘なのに。