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冷血な獣
第17章 花嫁
「何の事ですか?」
「だから婚姻届だよ!兄貴が言ってたよ。妃南が新婦の欄、全部書いてくれたって」
「……私、書いてませんよ?」
……ああ、嫌な予感がする。
どうしてこうも次から次に何か起きるんだろう。
私、疫病神でもついてるのかな。
「……えー。じゃあ何で兄貴はあんなこと言ったんだろ。結婚するフリだって聞いたけどさ、本当にするみたいだったよ」
「椿さん、……りょう君は何処にいるんですか?」
「自分の部屋だけど」
物事は全て自分の身から出た錆だと分かってる。
自業自得。因果応報。
私がいつも心得ている言葉。
だけど状況を見極める事だって大事だ――
自分のせいだけじゃなくて、相手にも何かしら事を起こす要素があるということ……。
「椿さん、ちょっと行ってきますね」
急いでベッドから降りる。
そして私は、一目散にりょう君の部屋へ向かい走り出した。