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冷血な獣
第17章 花嫁
「妃南、本当にすまない……あれから寝ずに考えたが、やはり妃南の側にいたいという気持ちは変わらなかった……妃南を知ったきっかけは涼太だったが、妃南に初めから惹かれていたのは事実だ」
申し訳なさそうに話すと、龍河さんは足下に置いていた鞄から何かを取り出し、体を起こした私へ渡す。
「婚姻届、書いてくれ」
……本日2度目に見るのに、こうも感情が違うものなの?
「えっ……」
「書いてくれるまでここから動かない」
「あの……」
ベッドの縁に腰掛けて、龍河さんは隣にいる私の顔を冷淡に見つめる。
至近距離にある互いの顔。
顔へ掛かりそうな龍河さんの息。
……このままだと。
「キスしそうなんですが……」
「それはこっちのセリフだ。早く書いてくれないと、キスしてしまう」
「……良いです、しても……」
全然私からそらされない視線に困りながら、私は思わず呟いた。