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コーストライン
第3章 さざ波
ジリリリーーン、ジリリリーーン
その日、仕事から帰宅して玄関を開けるとけたたましく黒電話がなっていた。
少し躊躇はするモノの電話に手を伸ばし応えた。
「はい、吉田です」
微かに震えていただろうその声に、
『なにすかしてんだよ、俺』
と、同級生だった俺があの頃よりは少し低くなったが聞き慣れたその声に叶和は安堵する。
「なに木内、久しぶりじゃん
どうした」
『オマエ今週末ヒマ?』
「今週末?
シフト月一の週末休みだけど」
『じゃあ、最後の流しに行かねー』
「最後の流し?」
『ああ、俺あの車手放すことにしてさ』
「マジ!!!」
『あの頃の奴らも集まるって言うから』
「行くーーー!」
『じゃあ、金曜』
お互いの携番を教え合い家電を終了。
後日SNS連絡で時間を決め週末を楽しみに待った。
ドッドッドッド……
重低音に響くエンジン音に近所で待ち合わせしたら迷惑になるであろうと近所のコンビニで待ち合わせをしたが、結局コンビニ客の注目を集めてしまっているその車に叶和は乗り込んだ。
「わっ、相変わらず下向き出しの座り心地最悪」
「イーんだよ、男のロマン
女は乗せねーんだから」
「イヤイヤ、私女なんだけど」
「見た目はな、叶和は叶和だろ」
「まーね」
同級生と言っても学生時代は殆ど交流がなかった二人だったが、中学時代のクラスは男女仲がよく毎年同窓会と言って集まっていた。
強制ではなかったので叶和は毎回は参加はしなかったが、成人の日の同窓会に出席した時にたまたま隣に居合わせた木内と意気投合してからの付き合いだ。