- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
初恋
第3章 記憶のかけら
──
「──あつッ」
それからあてもなく歩いていると、ココアに口をつけた彼女が俺の隣で小さく叫んだ。
ホットココアなんだから熱いに決まってるだろ。
自分のお茶をずびすび飲みながら、あまり慌てるなと注意した。
意外にも素直に頷いた彼女は、両手で持った缶に向かってフーフーと息を吹きかける。
フーフー唇を尖らせて
真剣な彼女は、若干寄り目気味になっていた。
それが何とも言えず無防備で、普段同年代の女の子と接点を持たない俺としては、自然と目が吸い寄せられる。
今、不意打ちで驚かしたら
百点満点の反応でひっくり返るんじゃないか。
興味がわくけど、それこそ頭からココアを被ったら酷なので我慢する。
服の替えもないしな。