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初恋
第3章 記憶のかけら
そして俺に思い知らせてきた──。
彼女にとっての " あの人 " が、どれだけ大事な存在なのか。
彼女がどれだけ、そいつを愛しているのかを。
「思い出せたよ!本当 に……っ」
「……」
「ありがとう…!!」
なんで礼を言われたんだよ俺は。
ああ……でも
そんな顔もするんじゃん。
ほっぺた染めて、嬉しさで瞳を潤ませて
胸にココアの缶をぎゅっと押し付けた彼女。
今の彼女は可愛いだけじゃなくて、ひとりの女としての色気を持っている。
なんか、無性に
名前も知らない会ったことすらない " あの人 " が、羨ましくなった。