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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子

―これは。
王子は懐かしさにまた泣き出しそうになった。鮮やかな黄色の薔薇は亡き母ミランダ王妃がこよなく愛した花だった。
国民はこの若く美しき王妃を敬愛し、王妃の愛した黄色い薔薇を身に付けることが王国の女性たちの間で流行ったほどだ。その眩しい黄色は
〝ロイヤル・イエロー〟と呼ばれた。
―いつかあなたを心から愛してくれる女性が現れる。その出逢いをけして無駄にしないで。あなたを心から愛していない女性はあなたの心の扉を開く鍵を持ってはいないのだから。
今度は、はっきり母の声だと判った。
―ママ、逝かないで。
王子は声を限りに叫んだが、手に残ったのは一輪の薔薇だけだった。
王子は懐かしさにまた泣き出しそうになった。鮮やかな黄色の薔薇は亡き母ミランダ王妃がこよなく愛した花だった。
国民はこの若く美しき王妃を敬愛し、王妃の愛した黄色い薔薇を身に付けることが王国の女性たちの間で流行ったほどだ。その眩しい黄色は
〝ロイヤル・イエロー〟と呼ばれた。
―いつかあなたを心から愛してくれる女性が現れる。その出逢いをけして無駄にしないで。あなたを心から愛していない女性はあなたの心の扉を開く鍵を持ってはいないのだから。
今度は、はっきり母の声だと判った。
―ママ、逝かないで。
王子は声を限りに叫んだが、手に残ったのは一輪の薔薇だけだった。

